ずっと前のことですが、ⅤHSのビデオデッキを買って、最初のころに録画したのが “チンピラ” という映画でした
本物のやくざになりきれない、毎日を自由気ままに生きる、2人のチンピラの苦悩と友情を描いた映画です
雑で粗削りだけど、若さと感性にあふれた映画です
分かりやすい娯楽映画です
金子正次の脚本もよく、音楽も効果的に使われています
“燃えよドラゴン” 公開前に亡くなった “ブルース・リー” のように、脚本を書いた金子正次は、映画の完成前に亡くなってしまいました
主演は “柴田恭兵” と “ジョニー大蔵” です
この2人が、チンピラぶりを滑稽に生き生きと演じています
舞台は “渋谷” ・・・バブル前の、とっても魅力的な、80年代の渋谷です
公衆電話とカセットテープ、缶ビールのプルタブが取れる時代のお話です
懐かしい渋谷の風景の中を、オールロケで、2人のチンピラコンビが走り回ります
映画の冒頭、仲間たちとライブハウスで拳銃を発砲し、店内はパニック状態になります
この “遊び” が、伏線になります
最後のどんでん返し・・・映画を見ている人がみんな騙されます
“スティング” という、大ヒットした “コン・ゲーム” の映画があります
“ポール・ニューマン” と “ロバート・レッドフォード” のコンビの映画で、監督はアメリカンニューシネマの傑作 “明日に向かって撃て” も撮った “ジョージ・ロイ・ヒル” です
この “スティング” のラストもおもしろかったのですが、よく見てみると、映画を見ている “観客” をだまそうとする演出がところどころあります
しかし “チンピラ” は、全くのストレート、直球です
このラストのどんでん返しは、完全に騙されました・・・
“チンピラ” も “明日に向かって撃て” も、2人のチンピラ・強盗が、追われて追い詰められて・・・という同じ設定なのですが・・・
そして、この映画の中で、重要な場所になるのが “渋谷東急百貨店本店” の屋上です
古い子供用の遊具のある屋上です
映画の中で、屋上からの眺めるバブル前の渋谷には、まだ高いビルはありません
その舞台にもなる “渋谷東急百貨店本店” が、ついこの間、55年の歴史を終えて閉店しました
現在渋谷は、100年に1度と言われる、街の再開発事業の真っ最中ね・・・
渋谷東急百貨店本店は撤去して、その跡地には地上36階建ての複合施設が建設されるそうだね
駅前には、渋谷ヒカリエや、渋谷スクランブルスクエアの高層ビルが続々オープンし、まったく様相が変わってしまったわね
“渋谷東急百貨店本店” では、買い物した記憶がないけど、たった55年で消えてしまうのね
それよりちょっと前、バブルの象徴だった、40階建ての “赤坂プリンスホテル” が、わずか30年足らずの営業で解体されたのには、ほんとに驚いたね
特徴的な外観でかっこよくって、予約の取れないトレンディホテルとして有名だったわね
渋谷は、映画とは全く違う街になってしまったのね・・・
“チンピラ” たちの似合わない街になってしまったのね
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